練馬区議会議員候補(無所属)・社会福祉士 かとうぎ桜子 私は1980年4月10日、桜の季節に生まれました。 高校生の時、「らい予防法」という、ハンセン病の患者さんを隔離する法律が廃止されました。 ハンセン病という病気になったことを理由に、一生涯を療養所に隔離されて暮らす人がいらっしゃったことにショックを受け、 大学時代は毎月、ハンセン病療養所・多磨全生園に行って、元患者さんの話を聞いていました。 慶應義塾大学では国文学を専攻していたのですが、人と人、社会との関係を調整する仕事をしたいという思いが強まり、 大学在学中にホームヘルパー2級の資格を取りました。 もっと詳しく福祉の勉強をしたいと考え、大学卒業後は、ヘルパーの仕事をしたり、 福祉関係の事務のバイトをしながら夜間の専門学校(上智社会福祉専門学校)で学び、 社会福祉士の資格を取りました。 介護が必要になっても自分の暮らしたい家で楽しく暮らすことができるようなサポートを、 ヘルパーとして十分にできているだろうか…という思いから、制度の改善や人材育成をすること、 住民の皆さんと一緒に福祉について考える機会を持つことができたらと考え、議員を目指し、2007年に初当選しました。 議会では福祉のことを中心にとりあげています。 現場の声を制度の改善に活かしていきたいという思いで、ヘルパーや相談員の活動もしています。 手話通訳ができるようになるための勉強もしているところです。 また、2018年、大泉学園町4丁目に福祉の必要な人の住まいと地域の拠点「ウイズタイムハウス」を作りました。 このリーフレットでは、私が進めてきた政策のうち、3つ具体例をあげてご紹介しています。 より詳しい内容は、かとうぎ桜子のホームページをご覧ください。 ■かとうぎ桜子事務所 〒178-0063 練馬区東大泉3−1−18−102 電話03-3978-4154 FAX03-3978-4158 HP http://www.sakurako-nerima.com/  メール sakurako_happy_society@yahoo.co.jp 頒布責任者:加藤木貢児 練馬区東大泉3−1−18−102 印刷者:ワイエスプリント社 北区桐ヶ丘1-9-109 取り組みの詳細はホームページからご覧いただけます。 http://www.sakurako-nerima.com/seisaku3kime/index.html (1)高齢者が安心して暮らせる地域 下の表は、練馬区の介護保険の資料を、かとうぎ桜子事務所で分析したものです。 介護保険を利用する人の年代別の状況を見ると、 ・65歳〜74歳の認定率は低いが、認定を受けている人は要介護度の高い人が多い。 つまり、比較的若い年代で介護が必要になる人は、大きな病気をするなどで介護度が重い人が多いと思われる。 また、同様の傾向は80代前半まで見られる。 ・80代後半になると、認定率は5割を超える。 ・85歳〜94歳では、他の年代よりも「要支援」の認定率が高い。 これは、介護の状態は重くないものの、家事のサポートや見守りなどの支援を導入することで 安心して自宅での生活を継続できるという人が多いということだと思われる。 ・90歳以上になると認定率全体も、その中で「要介護」の占める割合も高くなることから、 加齢に伴って身体介護も含めた支援のニーズが高まるということが予測される。 高齢の人が地域で安心して暮らすためには、比較的介護度の軽い人へのサポート体制と、 医療的ケアも含む介護の重い状態の人へのサポート体制の両面が必要と分かります。 しかし、それがいまだ不十分なのです。 介護の必要性や家族の事情から、自宅で暮らすことができなくなった場合、 施設に入ることが考えられますが、年々、練馬区外の施設に入る人が増えています。 区内の施設は利用料金が高く、やむを得ず、離れた場所を選択する人もいるのではないかと考えられます。 高齢者が暮らしやすい地域を実現するためには、まず、現在施設に入所している人がどんな事情で どんな思いを持って生活されているのか、聞き取り調査をすることが必要であると提案しました。 そうすることで、少しの見守りが必要な人も、介護が手厚く必要な人も、 地域で暮らすために今どんな支援が足りないのかを考えられるからです。 また、高齢期の住まいや、障害者制度との連携の必要性についても提案しました。 【表】65歳以上の人の要介護認定率(2018年3月末) 「練馬の介護保険 2017年度実績報告」にある「第1号被保険者年齢別認定者の内訳」より。 5歳刻みの認定率は、かとうぎ桜子事務所にて算出。 年代ごとの人口に占める、要介護認定を受けている人の割合を示している。 65歳〜69歳 認定率3.2% そのうち要支援の認定率0.7% 要介護の認定率2.5% 70歳〜74歳 認定率6.8% そのうち要支援の認定率1.7% 要介護の認定率5.1% 65歳〜74歳の小計 認定率4.9% そのうち要支援の認定率1.2% 要介護の認定率3.7% 75歳〜79歳 認定率13.5% そのうち要支援の認定率3.8% 要介護の認定率9.7% 80歳〜84歳 認定率29.3% そのうち要支援の認定率8.4% 要介護の認定率20.9% 85歳〜89歳 認定率51.1% そのうち要支援の認定率12.3% 要介護の認定率38.8% 90歳〜94歳 認定率73.4% そのうち要支援の認定率12.5% 要介護の認定率60.9% 95歳〜99歳 認定率87.8% そのうち要支援の認定率6.4% 要介護の認定率81.3% 100歳以上 認定率94.2% そのうち要支援の認定率2.7% 要介護の認定率91.5% 75歳以上小計 認定率33.2% そのうち要支援の認定率7.8% 要介護の認定率25.5% 合計 認定率20.0% そのうち要支援の認定率4.7% 要介護の認定率15.3% (2)こどもが安心して育つことのできる地域 社会福祉士の資格を取るための現場実習で、児童養護施設に行きました。 厚生労働省の調査によると、児童養護施設に入所したときの年齢は2歳〜6歳が多く、 入所に至る理由として18.1%が「親の虐待」、14.7%が「親の放任」、 4.8%が「養育拒否」であるということです。(2015年1月公表「児童養護施設入所児童等調査結果」より) 実習先で、幼稚園に通う年齢の子が「お母さん大好き。次はいつ会えるかな」と母親の写真を握りしめながら 話してくれた姿が心に残っています。様々な事情で不適切な養育環境になってしまっていたとしても、 施設で保護すれば万事解決ではなく、その後も親子の人生は続いていくのだということを痛感しました。 2016年の年末、大阪市西成区にある「こどもの里」に1週間泊まり込み、ボランティアをしながら学ぶ機会を得ました。 ここはNPOがやっているこどもの居場所ですが、親からの相談も受けています。 家庭に困難な状況があり、こどもを養育できなくなったとき、児童相談所で一時保護され、必要な場合は施設入所となります。 それまでの学校は転校となり、もともと暮らしていた地域とのつながりが途絶えてしまいます。 「こどもの里」に来ていた子の中にも、そうして連絡が取れなくなってしまう子達がいたそうです。 その後元気で心穏やかに暮らしているのか、何も見えなくなってしまいます。 もしこどもが孤独を感じていたとしても何もしてあげられないということに心を痛めた「こどもの里」の代表が、 緊急に家にいられないときには「こどもの里」に泊まることができ、しばらく家で暮らせない時は代表が里親になって 「こどもの里」に暮らせるようにするというやり方をするようになりました。 そうすれば、友達とも別れずに済むし例えば病気で子育てができない保護者が、体調の良い時にはすぐ近くにいるこどもに会うことができます。 一緒に暮らすのは難しくても、そばにいるので、親にとっても安心です。 虐待など不適切な養育環境に置かれたこどもを守るのはもちろんのこと、子育てが難しい事情を抱えた親の支援をすることも大切です。 これは、「こどもの里」のような民間のとりくみだけではなく、多くの地域にも広がるよう、自治体での取り組みが求められます。 そこで、区議会では、こどもを地域の中で預かることのできるしくみづくりなど、体制の整備を求めています。 特に今まだ不十分なのは、10代以上のこども・若者への支援体制です。今後も提案していきたいと考えています。 (3)障害がある人が生活しやすい地域 障害のある人の働き方は、一般企業での障害者雇用の他に、福祉制度のもとでの福祉的就労があります。 福祉的就労は、 ・一般企業での就労を目指し、原則2年間という期間で訓練をする場(就労移行支援事業) ・今はまだ企業就労は難しいという人が、雇用契約を結んで働く場(就労継続支援A型事業) ・雇用契約を結ばずに働く場(就労継続支援B型事業) というように分かれています。 今の障害者制度ができる前からやっていた作業所は、多くの場合B型の事業所として運営されています。 また、障害の重い人が通う、生活介護という事業もあります。 福祉的就労のもとで障害のある人に支払われる「お給料」は制度上「工賃」と呼ばれます。 特にB型事業所は雇用契約を結ばない働き方のため、工賃がとても安く、 2016年度の都内のB型事業所の平均工賃は月額1万5千349円(「平成30年〜32年度東京都工賃向上計画」より)。 これではとても「お給料」といえる額とは言えないことから、国は、「事業所は工賃を上げる努力をしなさい。 そうでなければ、国から事業所に対して支払う報酬を減らします」という制度設計をしています。 工賃を稼ぐために、障害のある人はどんなお仕事をしているかというと、例えば他の施設や公園などの清掃を請け負う、 商品の袋詰めなど内職仕事を請け負う、バッジや小物入れなどのオリジナルグッズを作って販売する、 お弁当販売やカフェ営業などの飲食関係の事業をする、といった方法を取ります。 しかし、内職仕事や飲食店営業でたくさんの収入を得るのは、障害の有無にかかわらず、とても厳しい世界です。 簡単にお給料アップをすることはできません。また、障害が重いのであまり多くのお仕事はできないという人や、 体調によって来られる日と来られない日がある人は、そんなにたくさん稼ぐことはできません。 でも、「たくさん工賃が払えなければ事業所の評価を下げる」と国から強く言われたら、 こうした障害の重い状態の人には「来ないでほしい」ということになってしまうかもしれません。 障害が重くても頑張って通って、可能な限り働こうとしてきた人の行き場が奪われてしまうことも懸念されます。 そもそも、障害の有無にかかわらず、働くことの意義は「稼ぐこと」だけではないのではないでしょうか。 働いた分だけきちんと評価され、お給料が支払われることはもちろん大切ですが、 その人の体調に応じた働き方、役割、居場所を作ることも福祉的就労の大きな役割であることをふまえた制度設計が必要であると提案しています。