かとうぎ桜子区政レポート 2023年3月号 議会報告通号155号 5期目に当選させていただきました。 4月23日に執行された練馬区議会議員選挙で、 かとうぎ桜子は5107票をいただき、12位で当選させていただきました。  選挙期間中は、昨年の練馬区長選に挑戦された 吉田健一さんも応援に来てくださいました。また、障害のある当事者の方、家族を介護している方など、それぞれの生活の中で社会的課題を感じている多くの区民の皆さんが応援に駆けつけてくださいました。 私は、こうした方々をはじめ、私の活動に期待してくださる区民の皆さんに恥じることのない活動をこれからもしていきたい、と考えながら選挙に臨みました。  2024年度は、国の制度として介護保険、障害福祉、医療計画、女性支援が変わる時期です。また、練馬区でも自殺対策計画の改定、地域福祉計画の改定準備などがあります。  あらゆる福祉制度は、人生の中で何か困りごとがあったら誰もが使えるものですから、本来はもっと誰にも分かりやすいものでなければなりません。でも現状は分野ごとに縦割りで、複雑で分かりづらいのです。 私は福祉の専門職として、区民の皆さんにとって使いやすい、より良いしくみになるよう、これからも提案を続けていけたらと考えております。 選挙の中で見える課題〜誰もが参加しやすい選挙の工夫が必要 【郵便投票の対象範囲が狭すぎる】 選挙期間中、こんなお話をお聞きしました。ご家族が末期がんで在宅療養されているという方です。  在宅療養しているご本人は意思表示を明確にできる状態で、投票に行きたいと思っているのですが、体調が悪いため、投票所まで自分で行くことが困難でした。 そこで郵便投票できないかと、ご家族が選挙管理委員会に問い合わせたところ、「対象にならない」と言われたというのです。 実は、郵便投票は、左の表にあるようにとても対象者が狭いのです。例えば、介護が必要な人は要介護5の人しか対象になっていません。 でも、要介護3や4でも投票所まで行くのが困難な人はいると思います。がん患者など、病気の人は、体調の急な変化で要介護認定を受けていない人もいるはずです。 国は、「人生の最期を住み慣れた地域で送ることのできる在宅療養を推進しよう」といっているのに、在宅療養している人は投票できないのは問題です。  また、障害者手帳を持っている人も、郵便投票の対象になるのは身体障害・内部障害のみで、精神障害など対象にならない人も多いのが現状です。 そのため、精神障害によって外出が困難なのに郵便投票が認められないのは問題であるとして、当事者が裁判を起こしたこともあります。 冒頭の末期がんの方のお話を聞いて、私も練馬区選挙管理委員会に連絡し、柔軟な対応をすべきではないかと問いましたが、 対象者は公職選挙法と法施行令に定められているため自治体の裁量で対象を広げるのは困難、という回答でした。  なぜこれだけ規制が厳しいのかというと、不正な投票を防ぐという意味合いが強いようです。戦後に制定された制度では疾病や妊娠なども含め 幅広く在宅投票が認められたのですが、多くの不正が発生して1952年に制度廃止。1974年に手続きが厳格化される形で制度が復活した経緯があります。 ※選挙研究35巻2号2019年「障害等のある有権者や寝たきりの有権者はどのように投票に参加してきたのか?」大倉沙江 より  しかし、投票したくてもできない人が多く発生するのは課題です。ご自身の病気などの経験から、社会的な課題をお感じになっている方々が、 希望しているにもかかわらず選挙権が保障されない問題を早急に是正すべきです。 【病院や施設に入っていれば投票できる場合もあるが、できない場合も】 病院や施設に入っている場合、その病院・施設が投票所として指定を受けていればそこで投票もできますが、すべての施設が指定を受けているわけではありませんし、 投票できる場合でも、あらかじめ手続きが必要なので、例えば「退院して投票に行く予定だったが入院が長引いた」など、急な体調変化への対応はしづらいです。 ここも改善すべき課題があります。 【だれもが足を運びやすい場づくりも必要では】 また、メンタルの不調のある人から、「今回初めて投票に行ったけれど、立会人や区職員がにこりともせずにじっとこちらを見ている、 ものものしい雰囲気で、威圧感があって怖かった」とのご意見をいただきました。初めて投票に行く若い人や、心身に不調のある人が、 もっと気軽に投票所に行くことのできる場の工夫も必要です。 左の表の歴史を見ると、選挙制度は、投票できる人の範囲を広げるための制度改定が繰り返されています。 しかしまだまだ、社会的に弱い立場に立たされる人の権利保障が不十分であるといえます。 こうした、より多くの人が選挙権を行使しやすい環境づくりの課題についても、議会で取り上げていきたいと考えています。 【投票済証を受け取りましたか?】 投票に行くと、投票済証というものがもらえるのをご存知でしょうか? 選挙の啓発の一環として作られているもので、各自治体で工夫をして作っています。  練馬区では今まで、普通用紙にモノクロのものでしたが、今回から、練馬区のキャラクターの ねり丸が描かれている、カラーの可愛らしいカードになっていました。  しかし、この投票済証、投票立会人に「ください」と言わないともらえないので、あること自体に気付かない方も多いのではないでしょうか。 せっかく選挙の啓発のために作っているものなのですから、皆さんが気軽に受け取ることができるようにすべきではないかと考えます。 【総務省の郵便投票に関するパンフレットより】 郵便等による不在者投票の対象者 郵便等による不在者投票は、身体障害者手帳か戦傷者手帳をお持ちの選挙人で、次のような障害のある方 又は介護保険の被保険者証の要介護状態区分が「要介護5」の方に認められています。(平成16年3月より対象者が拡大されました) 身体障害者手帳 障害名 両下肢、体幹、移動機能の障害 障害の程度 1級、2級 障害名 心臓、腎臓、呼吸器、膀胱、直腸、小腸の障害 障害の程度 1級又は3級 障害名 免疫、肝臓の障害 障害の程度 1級、2級、3級 手帳の記載では該当するかどうかわからないときは、市区町村の選挙管理委員会にお問合せ下さい。 戦傷者手帳 障害名 両下肢、体幹の障害 障害の程度 特別項症、第1項症、第2項症 障害名 心臓、腎臓、呼吸器、膀胱、直腸、小腸の障害 障害の程度 特別項症、第1項症、第2項症、第3項症 手帳の記載では該当するかどうかわからないときは、市区町村の選挙管理委員会にお問合せ下さい。 介護保険の被保険者証 要介護状態区分 要介護5 山形県酒田市の選挙サイトに選挙制度の歴史の概要が載ってましたので、特に、より多くの人が投票に参加するための制度改定の部分をご紹介します。 1945年昭和20年 女性の参政権を認め、満20歳以上のすべての国民が選挙権を有する「完全な普通選挙」が実現 1997年平成9年 投票時間の延長等の投票環境向上策 1998年平成10年 在外選挙制度の創設(比例代表選挙のみ) 2003年平成15年 期日前投票制度の創設、郵便投票対象者の拡大及び代理記載制度の創設 2006年平成18年 在外選挙の対象を選挙区選挙にも拡大、国外での不在者投票制度の創設 2013年平成25年 インターネット選挙運動解禁、成年被後見人の選挙権回復、衆議院議員の定数削減 2016年平成28年 共通投票所制度の創設、海洋投票の対象拡大等の投票環境向上策、選挙権年齢が18歳以上に引き下げ    【5月30日新しい期の議員の初登庁、6月5日〜27日が区議会定例会の予定】 区議会議員選挙が行われたのは4月23日でしたが、今までの練馬区議会の任期が終わるのは5月29日と、1か月強の間があきます。 5月中は、次の期に向けての会派(区議会の中のグループ)の届を出したり、準備を進めます。 5月30日に、新しいメンバーの議員が初登庁。そして、予定では6月5日から議会が行われる予定です。 今まで区議会にいなかった新しい政党の方が入られたりもあって、議会の雰囲気も変わるかもしれません。 今後の区政レポートやSNS、ブログなどでご紹介していけたらと考えております。 【今回の選挙での練馬区議会の構成の変化】 特に政党所属の議員が大きく変化する結果でした。 政党・団体名 これまでの人数 (2023年5月まで) これからの人数 (5月30日から) 増減 自民党  これまでの人数2023年5月まで17 5月30日から15 増減-2 (18名立候補し、現職2名、新人1名が落選) 公明党 これまでの人数2023年5月まで11 5月30日から7 増減-4 (現職4名が落選) 日本共産党 これまでの人数2023年5月まで5  5月30日から5 増減0 (6名立候補し、元職1名当選、現職1名落選) 立憲民主党 これまでの人数2023年5月まで4 5月30日から6 増減+2 (現職4名、新人2名が当選) 生活者ネットワーク これまでの人数2023年5月まで2 5月30日から2 増減0 (現職1名引退、現職1名新人1名当選) 都民ファースト これまでの人数2023年5月まで2  5月30日から3 増減+1 (現職1名が今回は無所属になり落選、現職1名と新人1名が当選) 国民民主党 これまでの人数2023年5月まで1  5月30日から1 増減0(現職1名が当選) 日本維新の会 これまでの人数2023年5月まで0 5月30日から3 増減+3(新人2名、元職1名が当選) れいわ新選組 これまでの人数2023年5月まで0  5月30日から1 増減+1(新人1名が当選) 参政党 これまでの人数2023年5月まで0 5月30日から1 増減+1(新人1名が当選) NHK党 これまでの人数2023年5月まで 1 5月30日から0 増減-1(現職は3月に辞職、新人1名が落選) オンブズマン これまでの人数2023年5月まで1 5月30日から0 増減-1(引退) 無所属  これまでの人数2023年5月まで6 5月30日から6 増減0(現職1名落選、元職1名と現職5名当選) 【かとうぎ桜子プロフィール】 ●1980年生まれ。現在、43歳です。27歳から区議会議員になって、4期目です。(5月末から5期目となります。) ●桐朋女子という、自由な校風の中学・高校を卒業しました。こどもの頃から猫が好きで、今も3匹の保護猫を飼っています。キジトラ、サバトラ、黒猫。 ●慶応義塾大学文学部では国文学を専攻していましたが、人間関係を調整する仕事に関心を持ち、大学4年の夏休みにホームヘルパー2級の資格を取得しました。 ●もっと深く福祉のことを知りたいと、大学卒業後に夜間の上智社会福祉専門学校に入学し、昼間はヘルパーや福祉関係の事務の仕事をしながら、2005年に社会福祉士を取得。 ●社会福祉士取得後、NPOで介護の仕事をしたのですが、制度的な課題を感じ、介護保険など制度運用の改善と地域で人の生活をささえるしくみを作りたいと、2007年の区議会議員選挙に初挑戦し、当選しました。 ●議員になってすぐ、区立保育園の民営化問題で当事者が置き去りとなって施策が進められていることに疑問を感じ、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科にて、民営化問題と市民参加について研究しました。 ●2012年、検診で子宮頸がんが見つかり治療。今は定期検診のみで、落ち着いていますが、 この経験を機に、女性の健康や人権についてもっと取り組んでいきたいと考えました。 ●2014年、東日本大震災で被災した地域の応援の活動で知り合った夫と結婚。 ●2017年、手話検定1級取得。 ●2018年、シェアハウスと地域の拠点「ウイズタイムハウス」を大泉学園町4丁目にオープン ●2020年、介護福祉士を取得。 ●ヘルパーや相談員の仕事も続けています。現場の実践を政策に活かすとりくみを今後も続けていきます。