かとうぎ桜子区政レポート 2023年3月号 議会報告通号153号 (1ページ目) 2月、「コロナ禍と介護《というテーマで勉強会を行い、ケアマネジャーさんからこの3年間の介護現場のお話をしていただきました。 コロナ禍が起こったばかりの頃は、「緊急事態宣言って何だろう?《と、なにも分からないような状況の中、可能な限り業務を継続する方針のもとに活動するところからのスタート。 〇特に初期は介護施設のクラスターが多く発生していた。 〇通所施設は事業所の判断で休業するところもあったがサービス利用には契約が必要であるため、利用者の多くは他には移行せず、再開を待っていた。 〇利用者から介護サービス利用を控えたいという連絡も多かった。 〇人によっては従来必要な月1回のケアマネ訪門も控えたいということもあって、ケアマネとしては状態の確認がしづらかった。 〇このような課題に対して国から、「電話での状態確認でも良い《などの特例的な対応に関する通知が頻繁に出た。 〇介護が必要な人を支える家族や従事者の感染時の対応が大変で、ケアマネジャーが臨時的な対応をすることもあった。 といったお話がありました。 参加者の皆さんからも活発なご意見、ご質問がありましたが、私が特に印象に残ったのは、家族を介護している参加者の方のお話。「コロナ禍に財政難として練馬区の紙おむつ支給の上限額など条件が変わったことでとても負担が大きくなっている。支給の上限額を変えることが各家庭にどれだけの影響を与えるか、行政は本当に分かってやっているのだろうか《とおっしゃっていました。 練馬区はコロナ禍で、当初想定していたほど財政は厳しくならなかったのに、「財政的な問題だけではなく、時代のニーズや持続可能性を踏まえての変更だ《として、このようなおむつ支給などの変更を撤回しようとしません。しかし時代のニーズとは具体的にはいったい何を指すのか上明です。困難を抱える区民の生活の視点に立っての改善を今後も求めていきたいと思います。 (2,3ページ目) こどもが安心して育つ権利を保障する観点からの政策が必要 「ヤングケアラーの問題の背景には、家族任せが前提の介護・福祉制度の脆弱さがある《 練馬区の2023年度予算には、ヤングケアラーの支援という項目が入っていました。 練馬区は2022年10月にヤングケアラー実態調査を行っており、 小6の7.8%、中2の 6.6%が家族のケアをしているという結果が出ています。  〇世話をしている相手は弟・妹が一番多く、 次いでお母さん、おばあさんが続いています。(図表①) 〇ケアの内容は小6の40.6%、 中2の47,3%が 家事。 (図表②) 介護保険や障害者制度のヘルパー派遣事業の中の家事援助は、家族がいる場合は基本的に利用できません。つまり、家族がいるなら家事は家族がやれ、という制度設計であること自体に問題があります。その制度のしわ寄せがこどもに及んでいるのがヤングケアラーの問題ともいえるのです。 また、例えば「親が病気でケアが必要だが、障害の認定を受けていないために制度が使えない、介護保険を利用できる年齢にもなっていない《など、介護保険や障害者制度の対象となっていない場合にも横断的に活用できる支援制度も必要です。 「ヤングケアラー問題は、相談したその先の解決策が必要《 区が2023年度予算に入れているのは ・相談しやすいアプリの導入 ・ヤングケアラーチェックシートの作成 ・相談員の増員 です。 しかし、相談を受けた後、 利用できる支援はまだ十分ではありません。 予算記者発表資料にはホームヘルプ、レスパイト、居場所などが書いてあるのですが、例えばすでにあるひとり親支援の活用などを想定しており、 必ずしもヤングケアラーが皆、対象にならないこともありそうです。 「家族がやれ《を前提とした福祉制度の是正を国に求めるとともに、区としての積極的な支援の拡求を求めていきます。 【練馬区ヤングケアラー実態調査より】 ①世話を必要とする家族 (小6)お母さん23.4%、お父さん10.7%、おばあさん10.7%、おじいさん6.2% 兄・姉5.0%、弟・妹51.1%、その他8.6%、無回答8.6% (中2)お母さん20.1%、お父さん8.8%、おばあさん16.8%、おじいさん7.3% 兄・姉6.6%、弟・妹46.9%、その他4.4%、無回答5.5% ②世話の内容 (小6)家の家事40.6%、入浴やトイレの手伝い24.6%、通園通学通所するときの送迎6.7%、 買い物や散歩の付き添い24.3%、病院の付き添い3.6%、話し相手37.5%、見守り27.7% 通訳3.1%、お金の管理や手伝い2.4%、薬の管理や手伝い5.0%、その他18.1%、無回答4.8% (中2)家の家事47.3%、入浴やトイレの手伝い24.9%、通園通学通所するときの送迎7.0%、 買い物や散歩の付き添い24.9%、病院の付き添い4.0%、話し相手43.2%、見守り36.6% 通訳1.8%、お金の管理や手伝い1.8%、薬の管理や手伝い5.5%、その他13.2%、無回答2.2% 「学校給食費無償化はバラマキ?《 今回、2023年度当初予算と同時の補正予算が組まれ、練馬区は2023年度から第2子以降の学校給食費の無償化をする、としました。 私たちの会派では、こどもの貧困問題への区としての積極的姿勢を示すべきこと、また義務教育にかかる費用は無償であるべきという観点から給食費の無償化の提案をしてきました。しかし、区長は、「生活困窮している人の支援はすでに別制度で行っており、こどもは基本的に家庭が責任を持つべきなので、すべてのこどもの給食費を無償化するのはバラマキだ。でも少子化が深刻なので、2子以降の無償化をする《と説明しました。 家族に起こる生活課題を社会問題として捉えるのではなく家族個々の問題として、区民の生活に必要な支援を安易にバラマキと断ずることこそが少子化社会を招いているのではないでしょうか。このような区政の姿勢に疑問を感じます。 こどもの施策はこどもの権利保障の観点からとり組むべきであり、今後、こどもの権利条例を提案していきます。 【かとうぎ桜子が3月10日の本会議で発言した2023年度予算に対する反対討論の概要】 長期化するコロナ禍に追い打ちをかけるように物価上昇が止まらない。今、住民の抱える生活課題は非常に多様。ひとつの施設を作るだけ、ひとつの施策を実施するだけでは対応できない多岐にわたる課題の解決を図ることが必要。私達が取り組むべきと考えている具体的な課題を挙げる。 ①生活困窮者支援。特例貸付の返済が始まる中、利用しやすい生活困窮者支援の制度の確立と、相談しやすい場づくりが急務の課題。約1万世帯の区民が特例貸付を利用しているが、返済の免除の対象範囲が狭い。免除の対象にはならなくても返済が困難な人が多くいることが懸念されている。誰にも相談できずに孤立する、貸付の実施主体でもある社会福祉協議会の生活困窮相談を利用しづらくなる、等を防止することが非常に重要な課題。今、十分な対応をしなければ、あとあと大きな社会的課題となることを懸念。社会福祉協議会と連携し、フードバンクなど生活支援事業を実施し、相談をためらう人が立ち寄りやすい、相談しやすい場づくりに早急にとりくむ必要がある。 ②性的マイノリティへの支援。練馬区は、パートナーシップ条例の策定について、「現実的な効果が上明《として後ろ向き。都の制度に合わせた最低限度の対応を「上便の軽減《のために実施するというが、公的機関がすべきことは、「上便の軽減《にとどまらず、「権利侵害されてきたマイノリティの権利を保障すること《。区として主体的に権利保障を。 ③ヤングケアラー支援。こどもが相談しやすいしくみづくり、子ども家庭支援センターの連携体制の充実などを進めるというが、相談した後に課題解決をするための方策が上十分。ヤングケアラーの問題の背景には、ケアが必要な人がいても家事は家族が責任を持ってやることが前提となっている介護・福祉制度の脆弱さがある。家族をケアしながらの家事負担が重くなっている家の状況を見て、それを支えようとするこどもに負荷がかかっている。家族主義を基本とした介護・福祉制度の是正と、ケアが必要でも障害者手帳を持たず、介護保険の対象にもならない若い世代を社会的にサポートする独自のしくみが必要。ヤングケアラーの問題を親子の関係性という問題としてではなく、社会の支援の脆弱性という視点からとらえ、支援の拡充を。 ④こどもの施策はすべて、こどもの権利を保障するという観点から取り組むべき。すべての施策を、「人の生きる権利を保障する《という観点からとらえるべき。 このような深刻な課題が多くある一方、練馬区は「ねりま推し《として、朝ドラやハリーポッターを契機に練馬区を盛り上げることに予算を投じている。今、練馬区が公費を投じて行うべきことは、このような偶然の民間のとりくみに乗って練馬区をPRすることではない。様々な懸念の声を押し切って進めようとする美術館の大規模改築に多額の費用を費やすことも疑問。練馬区に暮らす人が「ここに住んだから、安心して生きていくことができる《と思える基盤を率先して作ることで、練馬区の良さを多くの人に知ってもらうことこそが必要。人の生活への支援を「バラマキ《としてとらえるのではなく、だれもが練馬区で安心して自分らしく生きる権利を保障するという捉え方をする、そんな区政を私たちは目指したい、と申し上げて、反対討論とする。 (4ページ目) 4月、区議会議員選挙が予定されています。 4月16日告示、23日投票日の予定で区議会議員選挙が予定されており、私も5期目をめざして 準備を進めています。 選挙中は通常時と異なるルールがあります。 通常時はマイクを使う時間や配布物に特に制限がないので、 私は普段は朝7時頃から A3版の区政レポートを駅で配布しています。 でも、選挙期間中はマイクが使えるのは8時~20時となります。政策チラシはA4が上限サイズで、配布できるのは演説中のみとなります。 そのため、朝7時台の駅 では、ただ立ってご挨拶させていただくのみとなります。 4年ごとの選挙のたびに、いつも朝7時台に駅でレポートを受け取ってくださる方が「今日はどうしてなにも配らずただ立っているのだろう《と困惑された顔をされるのが申し訳ないなと思っているのですが、このような選挙のルールがあるという事情があるのです。ご了承ください。 5月14日(日)午後5時~練馬駅西口駅頭演説会、 5月20日(土)午後7時~大泉学園のゆめりあホールで講演会 選挙の結果がどうあれ、そのご報告をさせていただいたり、政策についてお話させていただく演説会と講演会を企画しています。14日の駅頭演説会には、昨年の区長選に挑戦した吉田健一さんに来ていただき、区議会でともに活動してきた議員の仲間も一緒に演説をします。20日の講演会は埼玉県北本市議会議員の桜井すぐるさんをお招きし、桜井さんが県庁の公務員から議員になった思いや、北本市で実現した子どもの権利条例のこと、また、どの地域でも共通する課題である住まいの支援のお話をします。 ぜひご参加ください! かとうぎ桜子プロフィール ●1980年生まれ。現在、42歳です。27歳から区議会議員になって、4期目です。 ●桐朋女子という、自由な校風の中学・高校を卒業しました。こどもの頃から猫が好きで、今も3匹の保護猫を飼っています。キジトラ、サバトラ、黒猫。 ●慶応義塾大学文学部では国文学を専攻していましたが、人間関係を調整する仕事に関心を持ち、大学4年の夏休みにホームヘルパー2級の資格を取得しました。 ●もっと深く福祉のことを知りたいと、大学卒業後に夜間の上智社会福祉専門学校に入学し、昼間はヘルパーや福祉関係の事務の仕事をしながら、2005年に社会福祉士を取得。 ●社会福祉士取得後、NPOで介護の仕事をしたのですが、制度的な課題を感じ、介護保険など制度運用の改善と地域で人の生活をささえるしくみを作りたいと、2007年の区議会議員選挙に初挑戦し、当選しました。 ●議員になってすぐ、区立保育園の民営化問題で当事者が置き去りとなって施策が進められていることに疑問を感じ、立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科にて、民営化問題と市民参加について研究しました。 ●2012年、検診で子宮頸がんが見つかり治療。今は定期検診のみで、落ち着いていますが、 この経験を機に、女性の健康や人権についてもっと取り組んでいきたいと考えました。 ●2014年、東日本大震災で被災した地域の応援の活動で知り合った夫と結婚。 ●2017年、手話検定1級取得。 ●2018年、シェアハウスと地域の拠点「ウイズタイムハウス《を大泉学園町4丁目にオープン ●2020年、介護福祉士を取得。 ●ヘルパーや相談員の仕事も続けています。現場の実践を政策に活かすとりくみを今後も続けていきます。