かとうぎ桜子区政レポート 2022年10月号 議会報告通号149号 9月~10月の区議会定例会では、2021年度決算の審査をする決算特別委員会が行われ、私は副委員長を務めました。そのため、 決算については私は質疑の機会がありませんでした。 2022年度の補正予算の審査もありましたので、その際に質疑をしました。約193億円の補正予算が示されました。主な内容は、 ・コロナウイルスの拡大防止、医療体制の充実 約62億円 ・コロナウイルスの影響で困窮する区民、事業者への 支援 約21億円 ・物価上昇で困窮する区民、事業者への支援 約61億円 ・区内中小企業への支援 約13億円 • その他(区立施設の光熱費上昇など)約36億円 私は質疑で、 ・国による非課税世帯への5万円給付金は、今まで給付金を受けたことがあり、口座情報を区が把握している場合は申請が不要になったので、ご高齢の方などに分かりやすい案内をする必要がある ・9月末まででコロナ禍の総合支援資金特例貸付が終了し、来年1月から返済もスタートする。返済免除の対象となる人に対して情報を届けること、また新たな困窮状態が発生するおそれもあることから、生活困窮者支援を充実すべきである などを指摘しました。他にも生活困窮者支援、農業支援、ウクライナ避難民支援について質問をしました。詳細はブログに載せていますので、ぜひご覧ください。 かとうぎ桜子のブログ→ 練馬区のプレスリリース資料より 主な取組 電力・ガス・食料品等価格応答緊急支援給付金 電力・ガス・食料品などの物価上昇による負担増を踏まえ、特に家計への影響が大きい住民税非課税世帯等に対し、臨時特別給付金に引き続き、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金として1世帯5万円を支給する。 生活支援臨時給付金 急激な物価上昇などによる生活への影響を緩和するため、国の臨時特別給付金などの支給対象とならない生活困窮世帯に対して、区独自に1世帯当たり15万円を支給する。ひとり親世帯には20万円を支給する。 学校給食食材購入費補助 食材購入費の上昇分を区が補助することで、保護者から徴収する学校給食費を据え置く措置を延長し、令和4年10月から令和5年3月まで継続する。(小学校:1食あたり17円、中学校:1食あたり15円) 緊急経営支援特別貸付 物価上昇などの影響を既に受けている、もしくは今後受けることが想定される区内の中小企業を対象に、特別貸付(貸付限度額:1000万円)を行う。 用途:運転資金 利率:利用者負担0.2%(区負担1.8%) 信用保証料:全額補助 受付期間:令和4年10月17日(月)から令和5年3月31日(金)まで キャッシュレス決済ポイント還元 期間中、PayPayを使って区内の対象店舗で買い物をすると、支給額の最大%のPayPayポイントが戻ってくるキャンペーンを実施する。 期間:令和4年11月1日(火)から12月31日(土)まで 対象:PayPayを導入している区内中小企業の店舗(大手チェーン店等を除く) 内容:ポイント付与上限は決済1回あたり3000ポイント、期間中合計は10000ポイントまで 施設等運営支援臨時給付金 社会機能の維持に欠かせない社会インフラである介護・障害福祉サービス事業所や幼稚園・保育園などの教育・子育て施設における急激な物価上昇による影響を緩和するため、貴ny空的な支援として区独自の給付金を支給する。 (2ページ目) 住まいにお困りの人への伴走型支援の充実を コロナ禍で生活環境が変わり、多かれ少なかれ家で過ごす時間が多くなっていると思います。そして、家族との関係や経済状況の変化などがある場合もあるのではないでしょうか。 私は議員の活動とは別に、住まいにお困りの方のご相談を受ける事業に携わっているのですが、その中では、「もともと折り合いが悪かった家族との関係が悪化して家を出たい、新しく暮らす家を探したい」といったご相談も多くなっていると感じています。 住宅政策に福祉的な視点が 入ってきている 住宅政策は従来、住宅ローン減税など、ハコを持つための政策が中心でした。しかし、2017年に住宅セーフティネット法が改正され、高齢者、障害者など住まいにお困りの方の入居を拒まない住宅を増やすことや、住まい探しの支援をする居住支援法人を制度化するなど、福祉的な観点からの住宅政策が進みつつあります。 そんな中で練馬区では2019年度から住まい確保支援事業を実施していますが、左の表にあるように、成約率がとても低いのです。練馬区が行なっている空き物件の情報提供事業は、 ① 住まい探しを希望している人に申込書を書いていただき、家賃や部屋の広さ、地域などの希望を記入してもらう ② それを区から不動産団体に照会する ③ 不動産団体から各不動産店に照会する ④ マッチする物件情報があれば、2週間~4週間程度で結果をお知らせする ⑤ 希望に合う物件があれば、その物件を取り扱う不動産店にご自身で連絡してもらう というものです。そもそもこの方法には、マッチしづらさがあるのではないでしょうか 「本当の希望」を聞き取れていない            しくみは改善すべき 不動産店や居住支援法人で直接お客様の対応をする場合、希望する物件についてはお話をお聞きしながら条件を精査していきます。すると、例えば最初は「どんな物件でも、今より家賃が安くなるならそれで構わない」とおっしゃっていた方でも、「トイレとお風呂は別が良い」「ワンルームではなくて2間は欲しい」など、「本当の希望」が出てくることがあります。このような「本当の希望」は、自分で申込書を書いていただくだけでは出てこないかもしれません。そのために、物件とご本人の本当の希望がマッチングしない恐れがあります。 また、お申込みいただいてから2週間~4週間程度で結果が出るということでは、不動産店に問い合わせたときにはすでにその物件は成約済みで、無くなっている可能性もあり、タイムリーな対応が難しいのではないかとも感じます。情報提供事業はこのようなや り方ではなく、相談対応に積極的に取り組んでくださる不動産店や居住支援法人に委託をして、申し込みの段階からお話を聞いて対応できる体制を取る必要があるのではないかと指摘しました。 伴走型支援の拡充を! 練馬区も、少ない成約件数をふまえて事業を改善しようと、2021年度から、区内の居住支援法人に委託をした「伴走型支援」をスタートさせました。これは、不動産店での相談や内見、契約に付き添ってお手伝いをする事業です。2021年度39件の申し込みに対し、19件が成約するという高い割合になっています。しかし、住まい確保支援事業に申し込みしている194件のうち、39件しか伴走型支援を利用していません。立ち退きを迫られるなど急を要する人や、障害があるため物件の情報提供をするだけでは困難がありそうだと判断した場合には伴走型支援につなげているというのですが、果たして、194件中39件しか伴走型支援をしないというその判断が正しいのか、基準が不明確です。これだけ高い成約率であるならば、申込者が断らない限り、区の住まい支援は伴走型支援を基本とすべきではないかと指摘しました。  また、194件のご相談の内訳は、 ・高齢者 128件 ・高齢と障害の状態のある世帯 21件 ・障害者 26件 ・ひとり親家庭 19件 というように、高齢者以外の件数がとても少ないです。もっと多くの方が利用できるよう周知をするとともに、外国人など、対象範囲を拡大すべきであると指摘しました。 (3ページ目) 練馬区が実施している住まい確保支援 練馬区では2019(令和元)年度から住まいの情報提供事業を実施しているが、毎年150~200件近い申し込みがあっても、成約件数は10件に満たない。そのため、2021(令和3)年度から伴走型支援をスタートさせている。以下は、2022年7月5日に開催された2022年度第1回練馬区居住支援協議会資料から抜粋。 過去3年度の事業実績 申込者合計 令和元年度195人 令和2年度154人 令和3年度194人 計543人 ①情報提供事業申込 令和元年度195人(のべ249人)令和2年度154人(のべ175人)令和3年度173人(のべ187人)計522人(のべ611人)  紹介実施 令和元年度75 令和2年度62 令和3年度90 計277人  紹介物件数 令和元年度210 令和2年度134 令和3年度292 計636戸  成約件数 令和元年度5 令和2年度8 令和3年度9 計22件 ②伴走型支援申込 令和3年度39人 計39人 調査継続中 令和3年度8人 計8人 取り下げ  令和3年度12人 計12人 成約件数  令和3年度19件 計19件 ③①と②の重複 令和3年度18人 計18人 成約件数合計 令和元年度5件 令和2年度8件 令和3年度28件 計41件 住まい確保支援事業実績数報告書(令和3年度) 1対象期間 令和3年4月1日~令和4年3月31日 2事業実績 申込者合計 高齢者123 高齢+障害21 障害者26 ひとり親家庭19 計194人 ①情報提供事業申込 高齢者116 高齢+障害15 障害者21 ひとり親家庭21 計173人(のべ187人)  紹介実施 高齢者66 高齢+障害4 障害者8 ひとり親家庭12 計90人  紹介物件数 高齢者223 高齢+障害5 障害者22 ひとり親家庭42 計292戸  成約件数 高齢者9 高齢+障害0 障害者0 ひとり親家庭0 計9人 ②伴走型支援申込 高齢者22 高齢+障害7 障害者10 ひとり親家庭0 計39人 調査継続中 高齢者5 高齢+障害1 障害者2 ひとり親家庭0 計8人 取り下げ  高齢者8 高齢+障害1 障害者3 ひとり親家庭0 計12人 成約件数  高齢者9 高齢+障害5 障害者5 ひとり親家庭0 計19人 ③①と②の重複 高齢者15 高齢+障害1 障害者2 ひとり親家庭0 計18人 成約件数合計 高齢者18 高齢+障害5 障害者5 ひとり親家庭0 計28人 申込者の障害状況 身体障害21件 精神障害11件 知的障害5件 (重複3件) (4ページ目) (ご案内再掲)「あなたはどこで死にたいですか」勉強会のご案内 2022年11月19日(土)午後2時~4時 勤労福祉会館(東大泉5-40-36) 2階 会議室大 講師:小島美里さん(NPO法人 暮らしネット・えん 代表) 参加費:500円 複雑な介護保険制度の下、高齢期になった時、介護が必要になった時、どこでどのような暮らしができるのだろうか…多くの方が不安をお感じになっているのではないでしょうか。 そこで、この夏「あなたはどこで死にたいですか」というご著書を出された小島美里さんをお呼びして、現在の介護保険制度の現状と、その中で私たちはどのような暮らしを選んでいけばいいか、お話を伺う勉強会を企画しました。ぜひご参加ください。    お申し込みはこちらから→ 暮らしネット・えんとは 新座市にて、ケアマネジャー事業所、ホームヘルパー派遣、デイサービス、認知症対応型グループホーム、小規模多機能型事業所、食事配達サービス、グループリビングを行っているNPOです。 (ホームページより)「暮らしネット・えん」は高齢者・障がい者の支援事業、調査活動、学習会、文化活動などを通じて高齢になっても障がいがあっても、おとなも子どもも共に生きる地域社会を創ることを目的として結成されたNPO法人です。<住みなれた地域で暮らしつづけたい>というあたりまえの願いを叶えるためには、顔が見える、手を繋げる地域の人々が力を合わせることが一番の近道、わたしたちはそう考えて活動しています。 かとうぎ桜子プロフィール ●1980年生まれ。現在、42歳です。27歳から区議会議員になって、4期目です。 ●桐朋女子という、自由な校風の中学・高校を卒業しました。こどもの頃から猫が好きで、今も3匹の保護猫を飼っています。キジトラ、サバトラ、黒猫。 ●慶応義塾大学文学部では国文学を専攻していましたが、人間関係を調整する仕事に関心を持ち、大学4年の夏休みにホームヘルパー2級の資格を取得しました。 ●もっと深く福祉のことを知りたいと、大学卒業後に夜間の上智社会福祉専門学校に入学し、昼間はヘルパーや福祉関係の事務の仕事をしながら、2005年に社会福祉士を取得。 ●社会福祉士取得後、NPOで介護の仕事をしたのですが、制度的な課題を感じ、介護保険など制度運用の改善と地域で人の生活をささえるしくみを作りたいと、2007年の区議会議員選挙に初挑戦し、当選しました。 ●議員になってすぐ、区立保育園の民営化問題で当事者が置き去りとなって施策が進められていることに疑問を感じ、 立教大学大学院・21世紀社会デザイン研究科にて、民営化問題と市民参加について研究しました。 ●2012年、検診で子宮頸がんが見つかり治療。今は定期検診のみで、落ち着いていますが、 この経験を機に、女性の健康や人権についてもっと取り組んでいきたいと考えました。 ●2014年、東日本大震災で被災した地域の応援の活動で知り合った夫と結婚。 ●2017年、手話検定1級取得。 ●2018年、シェアハウスと地域の拠点「ウイズタイムハウス」を大泉学園町4丁目にオープン ●2019年、福祉と連携した旅行サービスとNPO等の支援活動をする「桜こみち株式会社」設立 ●2020年、介護福祉士を取得。 ●ヘルパーや相談員の仕事も続けています。現場の実践を政策に活かすとりくみを今後も続けていきます。 ●ヘルパーの活動などでご高齢の方や障害のある方にお会いする機会も多いため、コロナの感染状況を見ながら駅での配布は休止したり再開したりしています。