かとうぎ桜子区政レポート 8月号 議会報告通号132号 【1ページ目】 「6月末に介護勉強会」 6月末に、介護の勉強会第7回目を行ないました。 今回はまず、大泉学園町2丁目にある「こぐれの里」という ユニット型特別養護老人ホームの見学をさせていただきました。 居室が個室で、10人前後の共有スペースがあるという、 生活空間を大切にしたつくりになっているのがユニット型特別養護老人ホーム。 こぐれの里の場合、9〜10人のユニットが6つある、2階建ての建物です。 そのうち入居者が50人、6人がショートステイとして短期利用をする形です。 こぐれの里は、2005年、練馬区内のユニット型としては一番早くオープンした 施設だそう。現在、300人ほどの待機があるというお話をお聞きしました。 その後、近くにあるヒューマンライフケアさんのグループホームと 看護小規模多機能型居宅介護施設の見学もさせていただきました。 グループホームは9人が暮らす生活スペースで2階建て。 ここは2016年にグループホームのために新しく建てられた建物で、 どちらかというと施設に近い、しっかりとした設備になっています。 ひとくちにグループホームといっても、場所によっては民家を活用しているなど 雰囲気はそれぞれまったく違うので、たくさん見学をして 自分に合うタイプのグループホームを探すといいですよ、 というアドバイスをいただきました。 看護小規模多機能型居宅介護施設は、練馬区内で2カ所あります。 小規模多機能型は、小規模でアットホームな建物の中に、 家で暮らす高齢者が通うデイサービスと、泊まりの設備があります。 そして同じスタッフがヘルパーとして家に支援にも来てくれるというもの。 顔なじみの安心感が売りのサービスです。 ヒューマンライフケアは利用者の登録定員が29名で、 ご希望に合わせて通所、泊まり、訪問サービスを利用されているそうです。 さらに「看護」とつく事業所では、看護師さんが多く配置されているため、 日常生活に医療面での心配をお持ちの方が利用しやすいサービスだと思います。 ただ、小規模多機能型サービスは他の介護保険サービスと併用できないものがあり、 ケアマネジャーも変更する必要があるなど、 制度上の使いづらさがあるということでした。 今回の勉強会は、初参加の方も多くいらっしゃいました。 勉強会は定期的に開催していきますので、ぜひご参加ください。 【2〜3ページ目】 「高齢の人が地域で安心して暮らせる体制の充実を」 6月の定例会で一般質問を行ないましたが、今回のレポートでは 高齢者向け食事サービスについての質疑をご紹介します。 私が定期的に行なっている介護に関する勉強会で、 3月に食事サービスを提供する事業者さんのお話を聞き、試食する会をしましたが、 そこで見えた制度的な課題について議会で取り上げました。 「日々の見守りの役割を果たしている食事サービスだが、制度的課題も」 練馬区は、 ・65歳以上でひとり暮らしの人 ・高齢者のみで生活をしている世帯 ・日中独居状態にある人 ・障害のある人と暮らしている高齢の人 を対象に日曜を除く週3食まで、少し安くお弁当を頼めるようにする「食事サービス」を 実施しています。これは、安否確認をひとつの目的としているということで、 利用する人は、ケアマネジャーや地域包括支援センターを通じ、 申し込み用紙を記入します。 食事サービスを提供している数社の事業者さんから話を聞く勉強会の中で、 どの事業者さんも、一般的なお弁当だけではなく、刻み、ムース、たんぱく調整など、 高齢者の身体の状態に合わせた美味しいお弁当を工夫しているということや、 見守りの体制も工夫しながら実施していることが分かりました。 日々、お弁当を手渡しするという中で、 「前より玄関まで出てくるまでの時間がかかるようになった」とか、 「鍵を開けるのに手間取るようになったので、もしかして認知機能に 衰えがあるのではないか」という変化にいち早く気づくことができ、 支援につなげられるという話も伺いました。 高齢者が安心して暮らすための手段の一つとしてとても重要な役割を担っていると 思います。 しかし、そもそもの区の制度については、高齢者の生活の実態に合っているかどうか、 その時々に検証する必要があると感じ、議会で質問しました。 「なぜ「3食」なのか?」 まず、サービス提供の頻度についてです。 練馬区の食事サービスは1週間のお昼か晩ご飯のうち、 3食までに補助を出すというものです。 1週間は7日間。昼と晩だけ考えても14食あるのに、 なぜ練馬区の補助は「3食」なのでしょうか。 他の区の状況を調査し、その結果の抜粋を左に掲載しました。 週14食までのところ、週7食までのところ、 介護サービスを利用している日は対象にしないとしているところ、 また、特に制限を設けていないところなど、様々です。食事サービスは、 ・栄養バランスの良い食事がとれること ・安否確認 ・セルフネグレクトの状態を予防・改善する という役割が考えられますので、食数は増やす必要があるのではないかという観点で質問しました。 「なぜ「日曜以外」なのか?」 お弁当の事業者さんの多くは、お正月以外は無休でお弁当の提供をしています。 日中独居の人であっても働き方が多様になっているこの時代、 日曜だからといって若い世代の家族が在宅しているとは限りませんし、 ましてやひとり暮らしや高齢者のみの世帯の場合にはなおさら、 日曜がお休みのデイサービスもあることを考えると、 日曜の食事のニーズは高いのではないでしょうか。 そこで、区はなぜ日曜を対象外としているのかと質問しました。 また、食事サービスの申し込みの際の利用申請書は、名前などの基本情報のみならず、 BMIなどかなり細かな情報の記載が必要であり、 それがその後にどう活かされるかも明確でないために負担を感じるというご意見を 現場の方からお聞きしました。 何のための情報収集なのか明確でないものは精査する必要があるのではないか ということも指摘しました。 しかし区からの回答は、「最初は1食だったのを、予算も見ながら3食まで 増やしたのだ。他区では事業を廃止する自治体もあるのだから、 これ以上増やす気はない」「日曜が休みのお弁当屋さんもあるから日曜は対象外なんだ」 「申込書の記載事項は必要だから書いてもらってるので、変えるつもりはない」 といった内容でした。 どういうやり方が絶対の正解ということはありませんが、区の回答を聞き、 ・何食を提供するのかを、高齢者の生活の必要性からではなく行政の都合だけで 考えているのだろうか。 ・多くのお弁当屋さんが日曜日もやっているにもかかわらず、 休みの業者がいることを理由に日曜日を対象外にするということは、 この事業は高齢者のためではなくてお弁当屋さんのためにやっているのだろうか。 ・煩雑な申込書の記載事項の必要性の説明が漠然としていて不十分である。 という疑問を感じました。 つまりは、必要としている当事者の姿を見ていない、不誠実な回答だと思うのです。 今まで述べてきたように、食事の提供は、単に栄養バランスの確保にとどまらない、 高齢者が地域で暮らすための大切な社会資源のひとつです。 区には、真摯な取り組みを求めたいと思います。 【表】高齢者向け配食サービスについて (2019年6月、かとうぎ桜子から議会事務局調査係を通じ、実施した調査結果) 紙面の都合上、23区内の特徴的な自治体をピックアップ。 実施無しの自治体は千代田区のほか、文京区、渋谷区、北区、足立区。 杉並区は2018年度末で廃止。 以下、自治体名、実施の有無、対象者、実施主体、配食の上限回数、費用、備考の順に記載。 @千代田区 実施無し 「高齢者食事支援サービス」として7月から開始予定。 A中央区 有。 【対象者】調理や買い物が困難で、区内在住の70歳以上または要支援・要介護認定を 受けた65歳以上の方で、次のいずれかに該当する方。@ひとり暮らしの方A家族全員が 70歳以上または要支援・要介護認定を受けた65歳以上の方B同居の家族が就労等のため 昼・夕食時は一人になる方。 【上限回数】週14食まで。(月曜日から日曜日の昼食と夕食) 【費用】1食490円から680円。 ※配食業者により費用は異なる。 【備考】事業は、区社会福祉協議会に委託して実施している。 実施主体は配食事業者及びボランティア(一部地域) B港区 有。 【対象者】港区内に住所を有し、食事の調理が困難と認められる次の者。 (1)65歳以上でひとり暮らしの者 (2)65歳以上の者のみで世帯を構成する者 (3)障害者と高齢者のみで世帯を構成する高齢者 (4)(3)で定めるもののほか区長が特に必要と認める者 【上限回数】1週間に7回まで 【費用】1食280円〜470円 実施主体は配食事業者 C新宿区 有。 【対象者】区内在住の65歳以上の在宅の方で、次のいずれかに該当する方。 @一人暮らしの方、または65歳以上のみの世帯の方。 A家族と同居しているが、日中@の状態となる方。 【上限回数】回数の上限なし。月曜日〜金曜日の希望する曜日の昼食(12/29〜1/3除く) 【費用】1食500円 実施主体は配食事業者 D台東区 有。 【対象者】区内にお住いの65歳以上の高齢者・障害のある方で、食事を作ったり、買ってくることが困難な方。 【上限回数】特になし。必要に応じて、昼食・夕食を365日お届けしており、上限回数は設けておりません。 【費用】利用者負担額430〜590円。*実施主体ごとに異なる。 【備考】利用にあたっては、台東区社会福祉協議会はつらつサービスへの会員登録が必要。 実施主体は配食事業者。 E墨田区 有。 【対象者】墨田区在住の65歳以上でひとりぐらし、又は家族全員が65歳以上世帯で見守りを必要とする方。 (日中独居を含む)かつ、買い物・調理を行うことが身体的に困難な方。 【上限回数】1日昼夜2食まで。 【費用】1食300円〜672円*実施主体ごとに費用は異なる 実施主体は配食事業者、高齢者在宅サービスセンター F江東区 有。 【対象者】区内在住の65歳以上の方で、下記の要件のいずれかを満たす方。 1.一人暮らし世帯。 2.同居者が通院治療を要する傷病又は就労していることにより、食事の調達ができない状況にある世帯。 3.同居者に一定の障害があり調理等困難である世帯。 【上限回数】週に7食まで。 【費用】1食300〜500円*実施団体にごとに費用は異なる。 実施主体は配食事業者。 G大田区 有。 【対象者】食事の支度をすることが困難な高齢者や心身に障がいのある人。 【上限回数】実施主体ごとに異なる。 【費用】1食400円〜700円程度*実施主体ごとに費用は異なる。 【備考】問い合わせ先 おおた地域共生ボランティアセンターボランティア担当(大田区社会福祉協議会内) 実施主体はボランティア。 H豊島区 有。 【対象者】区内に住所を有する65歳以上の高齢者。 【上限回数】なし。 【費用】配食事業者ごとに異なる。 【備考】令和元年度から委託事業から事業者登録制に移行した。 I荒川区 有。 【対象者】区内在住で「高齢者みまもりネットワーク事業」に登録されている65歳以上の方で、下記の要件のいずれかを 満たす方のうち、在宅で、日中における安否確認の手段がなく、身体状況等により食事の調理が困難な方。 ・ひとり暮らしの高齢者の方。 ・高齢者のみの世帯の方。 ・日中独居等のため、見守りが必要な高齢者の方。 【上限回数】無し。(介護サービス等の利用のある曜日は不可) 【費用】自己負担額1食230円〜680円*配食事業者ごとに費用は異なる。 実施主体は配食事業者。 J板橋区 有。 【対象者】65歳以上の方。 【上限回数】なし。 【費用】1食410円〜874円*実施主体ごとに費用は異なる。 K練馬区 有。 【対象者】区内在住の65歳以上の方で、下記の要件のいずれかを満たす方。 1.ひとりぐらしの高齢者。 2.高齢者のみで構成される世帯の高齢者。 3.日中独居の高齢者(高齢者の世帯のみを含む) 4.障害者と高齢者のみで生活している世帯で特別な事情にあることを区長が認めた高齢者。 【上限回数】週に3食まで。 【費用】1食440円〜670円*実施主体ごとに費用は異なる。 実施主体は配食事業者および社会福祉法人。 【4ページ目】 ★9月4日〜10月11日は区議会定例会 今回の定例会は、2018年度の練馬区の決算の審査をする予定です。 決算特別委員会が始まると、ほぼ毎日午後1時〜5時過ぎに委員会が開かれて、 「保健福祉費」「土木費」など、その日により設定されたテーマごとに質疑を進めます。 質疑は会派の大きさによって時間が割り振られて行なわれます。 私は一人会派なので、毎日6分間ずつと、とても短い質問時間があります。 会派の人数が大きければ質問時間も長くなりますが、会派の中で分担してやることになるので、 一人あたりの質問時間と考えれば私の質問時間はそんなに短くもありません。 6分間といえどもその短時間の中で効率的に必要な指摘をするために、 何十倍と準備の時間をかけて臨んでいます。 議会は平日の午後ですので、傍聴に来ていただくのは難しい方も多いかと思いますが、 質問終了後には内容をブログに載せていますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。 ★10月26日(土)区政報告会 14時〜15時半 @かとうぎ桜子事務所 今回初めての試みとして、かとうぎ桜子事務所にて区政報告会を開催します。 選挙後の議会の状況をお話させていただきます。ぜひご参加ください。 6月に一般質問した内容や9月の議会での質疑、 また委員会視察に行った直後になりそうですので、 そのご報告などもさせていただきたいと思っております。 当日参加も可能ですが、人数把握ができるとありがたいので、 可能であれば電話、FAX、メール、または以下のURLからお申し込みください。 日時:10月26日(土)14時〜15時半 場所:かとうぎ桜子事務所 電話03-3978-4154 FAX 03-3978-4158 メール sakurako_happy_society@yahoo.co.jp 申し込みURL https://forms.gle/5LvjkZij24S6eZgt9 ★駅でのレポート配布について かとうぎ桜子は、月に1回のペースで新しい区政レポートを作成しています。 視察など遠出をする場合などに間があくこともありますが基本的に1ヶ月で1めぐりするように、 おおむね以下のようなスケジュールで朝の通勤時間帯(7時〜8時30分頃)に配布しています。   ・毎週月曜日:大泉学園駅北口 (喫煙所の近く、駅正面のドトール前、グランエミオのビルの近く、 みずほ銀行の近くの4か所を順番に回っています。月曜日が祝日だったり、 月曜日に視察等があり都合がつかないときには曜日を変更する場合があります。) ・月2回、火曜日:大泉学園駅南口(1階ロータリーと2階デッキ) ・水曜または木曜のうち月3回:保谷駅北口と南口(北口正面、線路沿いの道、南口西友前) ・月3回、金曜日:石神井公園駅(中央改札側の正面、高架下、西口改札近く) ★かとうぎ桜子プロフィール ●1980年生まれ。現在、区議会議員4期目。 ●慶応義塾大学文学部に在学中、ホームヘルパー2級の資格を取得 ●大学卒業後、夜間の上智社会福祉専門学校に入学、社会福祉士取得 ●NPOで介護の仕事をする中で、地域福祉・地域社会にさらに深く幅広くかかわる必要性 を感じ、2007年区議会議員選挙に初挑戦、当選 ●公立保育園の民営化問題に疑問を感じ、区議の活動のかたわら立教大学大学院・21世紀 社会デザイン研究科にて研究。2010年修了 ●2012年、検診で子宮頸がんが見つかり治療。女性の健康へのとりくみの必要性についても 政策提言 ●2018年、地域の拠点・ウイズタイムハウスをオープン ●大泉学園町4丁目に猫3匹と夫と住んでいる