かとうぎ桜子区政レポート 10月号 議会報告通号134号 【1ページ目】 「2018年度の決算の質疑をしました」 9月4日〜10月11日に行なわれた区議会定例会では、2018年度の決算、今年度の補正予算の審査をしました。 予算特別委員会・決算特別委員会は午後に開かれ、その中で会派の大きさによって質問時間が決められています。 私は今、一人で活動しているので、質問時間はとても短く、6分しかないのですが、その中で必要な指摘・提案ができるよう、 あらかじめ調査をしたり担当者にヒアリングをしながら進めています。 質問は10日間行ないましたが、以下に、私が質問した内容のうち、 紙面の都合上4日間分の概要をご紹介します。 この区政レポートでご紹介しきれない内容、詳細はブログに載せておりますので、ぜひご覧ください。 ●9月17日 総務費  福祉事業所向けの防災研修が2016年度から実施されています。 良い研修内容なのですが、より多くの事業所に参加していただけるよう情報発信すること、 繰り返し参加している熱心な事業所の防災の取り組みを共有する機会をもつことも有意義なのではないか という提案をしました。 また、入所・通所施設向けの研修のみではなく、訪問介護・看護などの研修も必要と指摘しました。 ●9月18日 地域文化費  美術館やふるさと文化館の展示や文化財に触れることができるものがあると、視覚障害のある人も楽しめます。 触れられるもの、五感で楽しめる取り組みがあるときにはもっと積極的な発信をするよう提案しました。 また、文化センターには、飲食に配慮が必要な人も楽しめるよう飲み物にとろみのつけられる自動販売機があるので、 こうしたものについても必要な人に情報が届くような発信が必要と指摘しました。 ●9月19日 産業経済費  練馬のココネリにビジネスサポートセンターがあり、2014年の開設以来、 314人の創業者が相談、セミナーを活用しているそう。ただ、ここにはシェアオフィスのようなインキュベーション機能はありません。 都心には民間のシェアオフィスの選択肢も多いですが、練馬区内には最近できたばかり。 住宅地域である練馬区は、民間の取り組みの広がる都心とは状況が違うと考えられます。 創業希望者に必要な支援の意向を聞き取るとともに、民間シェアオフィスの取り組みと連携し、 ニーズはあっても民間ベースでは採算が合わない課題に行政として取り組む必要性の検証をすべきと提案しました。 ●9月20日 保健福祉費  地域で暮らす障害のある人が日々通う施設のうち、生活介護事業は、数も少なく対象となる障害種別も限られています。 区立の生活介護事業である福祉園は、今後、高野台運動場跡地に新たに開設することにより、 当面、特別支援学校の卒業生の受け入れに支障は出ないと担当者。 ただ、福祉園はもともと知的障害のある人しか対象にしていないので、身体障害、精神障害のある人は使えません。 民間の生活介護も知的障害を対象にしていることが多く、ネットで検索する限り精神障害を対象にしている施設がありません。 生活介護事業の種類を多様にできるよう、新規開設の支援など施策を進めるべきと提案しました。 【2〜3ページ目】 「病気が重くなっても、介護の必要性が高くなっても、暮らしたい場所で楽しく生活を継続できる支援の充実を」 レポートの表のページで、決算特別委員会で質問した内容をいくつかご紹介しましたが、 ここでは、保健福祉費の質疑の際に取り上げたもうひとつのテーマ、「在宅療養」についてご紹介します。 もし、自分や家族の病気が重くなったとき、介護の必要性が高くなったとき、どんな暮らし方をイメージされるでしょうか。 病院? 施設? それとも在宅生活?  「自分としては家で暮らしたいけれど、それで家族に迷惑をかけたくない…」と思われる方も多いかもしれません。 今、国の制度は、在宅療養・在宅介護を強くおし進めています。 それは財政的な問題であって本当に当事者のことを考えての制度設計なのかと疑問に感じる点もありますが、 しくみがうまく機能して、家族に負担をかけることなく自宅での生活を実現できたら良いですよね。 そのための体制整備について質問した内容をご紹介します。 「在宅生活を支えるために 地域包括支援センターの役割は大きい」 介護のことなど、高齢者の生活の相談ができる「地域包括支援センター」は、区内に25カ所あります。 2018年に体制の見直しがされ、それまでは4カ所あった「医療と介護の相談窓口」がすべての地域包括支援センターに設置され、 「医療介護連携推進員」が配置されました。そのため、下の表にあるように、相談件数も1万件を超えるようになっています。 高齢者支援課長によれば、「推進員は退院時などにその人の状況に応じた医療介護従事者による在宅療養の支援チームを編成して、 サービス提供体制を整えているほか、在宅療養を継続する中で本人の状態に変化があった時などには適宜支援チームに加わり、 必要なサービスの調整などを行っている」ということです。 医療・福祉サービスがうまく機能するかどうか、要となるのは機関をまたいだ専門職やボランティア等が顔の見える関係を作り、 「支援を要する当事者が自分らしい生活を維持できるようにする」という目標に向かって進むことです。  介護現場で働く人のお話を伺っていると、現状では、熱心に取り組む医療・介護従事者がいる一方で、 必要最低限の対応しかできていない現場もまだまだあると感じます。せっかく自宅で生活していても、 たまにヘルパーがおむつ交換に来るだけで社会とのつながりが途絶えてしまうという場合も中にはあります。 元気だった頃からの趣味を続けたり、友人に会ったり…単に排泄、栄養、衛生といった必要最低限の生理的欲求を満たす毎日ではなく、 生きがい、やりがい、社会とのつながりを維持できるようにするためには、専門職のスキルの底上げが必要です。 そのために、地域包括支援センターの果たすべき役割も大きいといえます。 「在宅療養の体制整備が必要」 また、在宅療養を支える診療所の体制づくりも必要です。 地域医療課長によれば、「自宅での看取りの件数は、2011年に341名であったものが2017年では549名と16%増加している状況」 「病院での看取りの割合は85%から76%と減少傾向」で、最期のときを自宅で迎えよう、という体制は少しずつ広がってきています。 しかし、診療所が看取りの体制をとるためには24時間対応できることが必要であり、 2017年に在宅の看取りを15件以上やっている区内の診療所は8件というように、まだ緒についたばかりです。  課題は、「在宅医療を担う医師が増えていかなければ対応が困難になる。区では誰もが安心して在宅で療養生活が送れるよう、 在宅医療を担う医師等への支援、また医療機関との検討を進めております。」(地域医療課長)ということです。 専門職が継続性をもって支援活動に当たることのできる体制づくりを今後も求めて提案をしていきたいと思います。 【在宅療養の具体的な例(区議会での高齢者支援課長からの答弁)】 @末期がんでご本人は自宅での最期を希望しておりましたが、ご家族が不安で迷っているという事例がございました。 地域包括支援センターの医療介護連携推進員がご家族に対し、在宅療養に関するサービス内容や看取りまでの見通しなどを ご説明することによってご家族の不安を軽減し、ご本人の希望である自宅での看取りを実現いたしました。 この事例では、ご本人が喜ばれたことはもとより、ご本人の看取り後、ご家族も自宅で看取りができてよかったとおっしゃっていたとのことです。 A脳梗塞で退院を控えた方に、在宅療養の環境整備を行ったという事例がございます。 まず、病院で行われる退院に向けた会議にケアマネジャーと地域包括支援センターの職員で参加しまして、 病院の医師やリハビリ専門職の話を伺いながら、本人および支援関係者で退院後の支援方針を確認いたしました。 そのうえでケアマネジャーは事例検討会で知り合った訪問看護ステーションなどに連絡し、みずから支援チームの構築に取り組み、 センターは在宅医との調整や住宅改修に向けた助言など、ケアマネジャーのサポートを行いながら在宅療養の環境を整備いたしました。 【表】医療と介護の相談窓口における相談実績 (地域包括支援センター運営委員会資料より) 平成28年度 在宅療養に関する相談 4260件 認知症に関する相談 3065件 計7325件 平成29年度 在宅医療に関する相談 3039件 認知症に関する相談 3593件 計6632件 平成30年度 在宅医療に関する相談 6947件 認知症に関する相談 11803件 計18750件 【表】相談内容の内訳(在宅療養に関する相談) (地域包括支援センター運営委員会資料より) 在宅療養のための介護サービス等の相談 30% 退院に関する相談 24% 医療機関の受診に関する相談 16% 入院に関する相談 12% 退院カンファレンスへの参加 6% その他 13% 【表】相談内容の内訳(認知症に関する相談) (地域包括支援センター運営委員会資料より) 認知症の症状・対応に関する相談 27% 生活支援・介護サービスに関する相談 26% 医療に関する相談 14% 権利擁護に関する相談 10% 生活機能障害に関する相談 9% 入院に関する相談 6% その他 8% 【表】「平成30年度練馬区死亡小票分析報告書」より、 「医療機関別の在宅看取り件数(平成29年)」を区政レポートの紙面掲載に合わせてかとうぎ桜子が再編集したもの 看取り件数1件の診療所 練馬区27 板橋・豊島・北6 その他の区17 都内の市町村6 埼玉県内7 その他2 看取り件数2件の診療所 練馬区11 板橋・豊島・北1 その他の区- 都内の市町村2 埼玉県内2 その他- 看取り件数3件の診療所 練馬区5 板橋・豊島・北2 その他の区2 都内の市町村- 埼玉県内- その他- 看取り件数4件の診療所 練馬区2 板橋・豊島・北- その他の区2 都内の市町村1 埼玉県内1 その他- 看取り件数5〜9件の診療所 練馬区10 板橋・豊島・北2 その他の区1 都内の市町村 - 埼玉県内- その他- 看取り件数10〜14件の診療所 練馬区4 板橋・豊島・北1 その他の区1 都内の市町村1 埼玉県内- その他- 看取り件数15〜19件の診療所 練馬区5 板橋・豊島・北- その他の区- 都内の市町村- 埼玉県内- その他- 看取り件数20件台の診療所 練馬区1 板橋・豊島・北- その他の区- 都内の市町村- 埼玉県内- その他- 看取り件数30件台の診療所 練馬区2 板橋・豊島・北- その他の区- 都内の市町村- 埼玉県内- その他- 看取り件数40件台の診療所 練馬区- 板橋・豊島・北- その他の区- 都内の市町村- 埼玉県内- その他- 看取り件数50件台の診療所 練馬区- 板橋・豊島・北1 その他の区- 都内の市町村- 埼玉県内- その他- 【4ページ目】 ★【再掲】11月30日(土)第9回介護勉強会 ●都市型ケアハウス「橋戸の丘」 ケアハウス(軽費老人ホーム)は、身寄りがないなど、見守り等のサポートが必要な人が暮らす施設ですが、 練馬区内には私の事務所の近くにある大泉ケアハウスの1か所しかありません。 低所得だったり身寄りのない高齢者が環境の整備されていない行政無届の施設に入り、 火災事故で亡くなる事故(たまゆら火災事故)が起きたことをきっかけに、 都心部に限ってケアハウスの面積基準を緩和した「都市型ケアハウス」というしくみが作られました。 練馬区内は都市型ケアハウスの整備が進んでいるほうですが、そのうちのひとつである「橋戸の丘」の見学をさせていただきます。 ●介護老人保健施設「練馬ゆめの木」 「橋戸の丘」見学の後、近隣にある介護老人保健施設「練馬ゆめの木」の見学をします。 介護老人保健施設は在宅で暮らす高齢者がリハビリのために短期間入所する施設。 以前は実質的に特養待機の場になっているといわれたこともありましたが、 制度の改正があって今はかなり在宅復帰に力を入れていますので、 どのような体制で運営されているのかといったお話が聞けたらと思っています。 【日時】11月30日(土)14時〜16時半 【集合】橋戸の丘(練馬区大泉町2-9-37)   石神井公園駅北口バス停から成増駅南口行きバス (東映撮影所を通るバス)に乗り、「橋戸小学校」 バス停で下車し、徒歩3分 【お申し込み、お問い合わせ先】 電話03-3978-4154 / FAX 03-3978-4158 メール sakurako_happy_society@yahoo.co.jp ★駅でのレポート配布について かとうぎ桜子は、月に1回のペースで新しい区政レポートを作成しています。 視察など遠出をする場合などに間があくこともありますが基本的に1ヶ月で1めぐりするように、 おおむね以下のようなスケジュールで朝の通勤時間帯(7時〜8時30分頃)に配布しています。   ・毎週月曜日:大泉学園駅北口 (喫煙所の近く、駅正面のドトール前、グランエミオのビルの近く、 みずほ銀行の近くの4か所を順番に回っています。月曜日が祝日だったり、 月曜日に視察等があり都合がつかないときには曜日を変更する場合があります。) ・月2回、火曜日:大泉学園駅南口(1階ロータリーと2階デッキ) ・水曜または木曜のうち月3回:保谷駅北口と南口(北口正面、線路沿いの道、南口西友前) ・月3回、金曜日:石神井公園駅(中央改札側の正面、高架下、西口改札近く) ★かとうぎ桜子プロフィール ●1980年生まれ。現在、区議会議員4期目。 ●慶応義塾大学文学部に在学中、ホームヘルパー2級の資格を取得 ●大学卒業後、夜間の上智社会福祉専門学校に入学、社会福祉士取得 ●NPOで介護の仕事をする中で、地域福祉・地域社会にさらに深く幅広くかかわる必要性 を感じ、2007年区議会議員選挙に初挑戦、当選 ●公立保育園の民営化問題に疑問を感じ、区議の活動のかたわら立教大学大学院・21世紀 社会デザイン研究科にて研究。2010年修了 ●2012年、検診で子宮頸がんが見つかり治療。女性の健康へのとりくみの必要性についても 政策提言 ●2018年、地域の拠点・ウイズタイムハウスをオープン ●大泉学園町4丁目に猫3匹と夫と住んでいる